| 释义 |
おぐら‐ひゃくにんいっしゅ【小倉百人一首】〔をぐら―〕アクセント おぐらひゃくにんい↓っしゅ 藤原定家が京都小倉山の山荘で選んだといわれる百首の歌。天智天皇から順徳院まで百人の和歌1一首ずつを集めたもので、近世以後、歌ガルタとして広まった。百人一首。百人首ひゃくにんしゅ。補説 小倉百人一首［1一］秋の田のかりほの庵いほの苫とまを粗あらみわが衣手は露にぬれつつ（天智天皇）［2二］春過ぎて夏来にけらし白妙の衣干すてふ天あまの香具山かぐやま（持統天皇）［3三］あしひきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜をひとりかも寝む（柿本人麻呂）［4四］田子たごの浦にうち出でて見れば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ（山部赤人）［5五］奥山に紅葉もみぢ踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき（猿丸大夫）［6六］鵲かささぎの渡せる橋に置く霜の白きを見れば夜ぞ更けにける（大伴家持）［7七］天あまの原はらふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも（阿倍仲麻呂）［8八］わが庵いほは都の辰巳しかぞ住む世をうぢ山と人はいふなり（喜撰法師）［9九］花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに（小野小町）［1一0〇］これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関（蝉丸）［1一1一］海わたの原はら八十島やそしまかけて漕ぎ出でぬと人には告げよ海人あまの釣舟（小野篁）［1一2二］天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ乙女の姿しばしとどめむ（僧正遍昭）［1一3三］筑波嶺つくばねの峰より落つるみなの川恋ぞ積もりて淵となりぬる（陽成院）［1一4四］陸奥みちのくのしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにしわれならなくに（源融）［1一5五］君がため春の野に出でて若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ（光孝天皇）［1一6六］立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰り来む（在原行平）［1一7七］ちはやぶる神代かみよも聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは（在原業平）［1一8八］住の江の岸に寄る波よるさへや夢の通ひ路人目よくらむ（藤原敏行）［1一9九］難波潟なにはがた短き葦あしの節の間も逢はでこの世を過ぐしてよとや（伊勢）［2二0〇］わびぬれば今はたおなじ難波なにはなる身をつくしても逢はむとぞ思ふ（元良親王）［2二1一］今来むといひしばかりに長月の有明の月を待ち出でつるかな（素性法師）［2二2二］吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風を嵐といふらむ（文屋康秀）［2二3三］月見れば千々ちぢに物こそ悲しけれわが身一つの秋にはあらねど（大江千里）［2二4四］このたびは幣ぬさも取りあへず手向山たむけやま紅葉もみぢの錦神のまにまに（菅原道真）［2二5五］名にし負はば逢坂山のさねかづら人に知られで来る由よしもがな（藤原定方）［2二6六］小倉山峰の紅葉葉もみぢば心あらばいまひとたびのみゆき待たなむ（藤原忠平）［2二7七］みかの原わきて流るるいづみ川いつ見きとてか恋しかるらむ（藤原兼輔）［2二8八］山里は冬ぞ寂しさまさりける人目も草もかれぬと思へば（源宗于むねゆき）［2二9九］心あてに折らばや折らむ初霜の置きまどはせる白菊の花（凡河内躬恒）［3三0〇］有明のつれなく見えし別れより暁ばかり憂うきものはなし（壬生忠岑）［3三1一］朝ぼらけ有明の月と見るまでに吉野の里に降れる白雪（坂上是則）［3三2二］山川に風のかけたるしがらみは流れもあへぬ紅葉もみぢなりけり（春道列樹はるみちのつらき）［3三3三］ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ（紀友則）［3三4四］誰をかも知る人にせむ高砂の松も昔の友ならなくに（藤原興風おきかぜ）［3三5五］人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香に匂ひける（紀貫之）［3三6六］夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲のいづこに月宿るらむ（清原深養父）［3三7七］白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける（文屋朝康ふんやのあさやす）［3三8八］忘らるる身をば思はず誓ひてし人の命の惜しくもあるかな（右近うこん）［3三9九］浅茅生あさぢふの小野の篠原忍ぶれどあまりてなどか人の恋しき（源等みなもとのひとし）［4四0〇］忍ぶれど色に出でにけりわが恋はものや思ふと人の問ふまで（平兼盛）［4四1一］恋すてふわが名はまだき立ちにけり人知れずこそ思ひそめしか（壬生忠見みぶのただみ）［4四2二］契りきなかたみに袖をしぼりつつ末の松山波越さじとは（清原元輔）［4四3三］逢ひ見てののちの心にくらぶれば昔はものを思はざりけり（藤原敦忠あつただ）［4四4四］逢ふことの絶えてしなくはなかなかに人をも身をも恨みざらまし（藤原朝忠）［4四5五］あはれともいふべき人は思ほえで身のいたづらになりぬべきかな（藤原伊尹）［4四6六］由良ゆらの門とを渡る舟人かぢを絶えゆくへも知らぬ恋の道かな（曽禰好忠）［4四7七］八重むぐら茂れる宿の寂しきに人こそ見えね秋は来にけり（恵慶えぎょう法師）［4四8八］風をいたみ岩打つ波のおのれのみ砕けて物を思ふころかな（源重之）［4四9九］御垣守みかきもり衛士えじのたく火の夜は燃え昼は消えつつものをこそ思へ（大中臣能宣）［5五0〇］君がため惜しからざりし命さへ長くもがなと思ひけるかな（藤原義孝よしたか）［5五1一］かくとだにえやは伊吹いぶきのさしも草さしも知らじな燃ゆる思ひを（藤原実方さねかた）［5五2二］明けぬれば暮るるものとは知りながらなほ恨めしき朝ぼらけかな（藤原道信みちのぶ）［5五3三］嘆きつつひとり寝ぬる夜の明くる間はいかに久しきものとかは知る（藤原道綱母）［5五4四］忘れじのゆく末まではかたければ今日を限りの命ともがな（儀同三司母）［5五5五］滝の音は絶えて久しくなりぬれど名こそ流れてなほ聞こえけれ（藤原公任）［5五6六］あらざらむこの世のほかの思ひ出にいまひとたびの逢ふこともがな（和泉式部）［5五7七］めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に雲隠れにし夜半よはの月かな（紫式部）［5五8八］有馬山猪名いなの笹原風吹けばいでそよ人を忘れやはする（大弐三位）［5五9九］やすらはで寝なましものをさ夜更けてかたぶくまでの月を見しかな（赤染衛門）［6六0〇］大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず天の橋立（小式部内侍）［6六1一］いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ここのへに匂ひぬるかな（伊勢大輔）［6六2二］夜をこめて鳥のそら音ねは謀はかるともよに逢坂の関は許さじ（清少納言）［6六3三］今はただ思ひ絶えなむとばかりを人づてならでいふよしもがな（藤原道雅みちまさ）［6六4四］朝ぼらけ宇治の川霧たえだえにあらはれわたる瀬々の網代木あじろぎ（藤原定頼さだより）［6六5五］恨みわび干さぬ袖だにあるものを恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ（相模）［6六6六］もろともにあはれと思へ山桜花よりほかに知る人もなし（行尊）［6六7七］春の夜の夢ばかりなる手枕たまくらにかひなくたたむ名こそ惜しけれ（周防内侍）［6六8八］心にもあらで憂うき世よに長らへば恋しかるべき夜半よはの月かな（三条院）［6六9九］嵐吹く三室みむろの山のもみぢ葉は竜田の川の錦なりけり（能因法師）［7七0〇］寂しさに宿を立ち出でてながむればいづくも同じ秋の夕暮（良暹法師）［7七1一］夕されば門田かどたの稲葉訪れて葦あしのまろ屋に秋風ぞ吹く（源経信）［7七2二］音に聞く高師たかしの浜のあだ波はかけじや袖のぬれもこそすれ（祐子ゆうし内親王家紀伊きい）［7七3三］高砂たかさごの尾をの上への桜咲きにけり外山とやまのかすみ立たずもあらなむ（大江匡房）［7七4四］憂うかりける人を初瀬の山おろしよ激しかれとは祈らぬものを（源俊頼）［7七5五］契りおきしさせもが露を命にてあはれ今年の秋も去いぬめり（藤原基俊）［7七6六］わたの原漕ぎ出でて見ればひさかたの雲居くもゐにまがふ沖つ白波（藤原忠通）［7七7七］瀬を早み岩にせかるる滝川の割れても末に逢はむとぞ思ふ（崇徳院）［7七8八］淡路島通ふ千鳥の鳴く声にいく夜寝覚めぬ須磨すまの関守（源兼昌かねまさ）［7七9九］秋風にたなびく雲のたえ間より漏れ出づる月の影のさやけさ（藤原顕輔）［8八0〇］長からむ心も知らず黒髪の乱れて今朝はものをこそ思へ（待賢門院堀河たいけんもんいんのほりかわ）［8八1一］ほととぎす鳴きつる方をながむればただ有明の月ぞ残れる（藤原実定）［8八2二］思ひわびさても命はあるものを憂うきに耐へぬは涙なりけり（道因どういん法師）［8八3三］世の中よ道こそなけれ思ひ入る山の奥にも鹿ぞ鳴くなる（藤原俊成）［8八4四］長らへばまたこのごろやしのばれむ憂うしと見し世ぞ今は恋しき（藤原清輔）［8八5五］夜もすがら物思ふころは明けやらで閨ねやのひまさへつれなかりけり（俊恵法師）［8八6六］嘆けとて月やはものを思はするかこち顔なるわが涙かな（西行法師）［8八7七］村雨むらさめの露もまだ干ひぬ槙まきの葉に霧立ちのぼる秋の夕暮（寂蓮法師）［8八8八］難波江なにはえの葦あしの仮寝かりねのひとよゆゑ身を尽くしてや恋ひわたるべき（皇嘉門院別当こうかもんいんのべっとう）［8八9九］玉の緒をよ絶えなば絶えね長らへば忍ぶることの弱りもぞする（式子内親王）［9九0〇］見せばやな雄島をじまの海人あまの袖だにも濡れにぞ濡れし色は変はらず（殷富門院大輔いんぷもんいんのたいふ）［9九1一］きりぎりす鳴くや霜夜しもよのさむしろに衣片敷かたしきひとりかも寝む（藤原良経）［9九2二］わが袖は潮干しほひに見えぬ沖の石の人こそ知らね乾く間もなし（二条院讃岐）［9九3三］世の中は常にもがもな渚漕ぐ海人あまの小舟をぶねの綱手つなでかなしも（源実朝）［9九4四］み吉野の山の秋風さ夜よ更けてふるさと寒く衣打つなり（藤原雅経）［9九5五］おほけなく憂うき世よの民におほふかなわが立つ杣そまにすみ染めの袖（慈円）［9九6六］花さそふ嵐の庭の雪ならでふりゆくものはわが身なりけり（藤原公経きんつね）［9九7七］来ぬ人を松帆まつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩もしほの身もこがれつつ（藤原定家）［9九8八］風そよぐ楢ならの小川の夕暮れは禊みそぎぞ夏のしるしなりける（藤原家隆）［9九9九］人も愛をし人も恨めしあぢきなく世を思ふゆゑにもの思ふ身は（後鳥羽上皇）［1一0〇0〇］百敷ももしきや古き軒端のきばのしのぶにもなほ余りある昔なりけり（順徳院） |