释义 |
袖打ち合わす袖返す袖反る袖掻き合わす袖片敷く袖すり合うも多生の縁袖に時雨る袖に縋る袖にする袖に露置く袖に湊の騒ぐ袖振り合うも多生の縁袖振る袖纏き干す袖を片敷く袖を絞る袖を連ねる袖を通す袖を引く袖を広ぐ袖を分かつそで【袖】アクセント そで○ 1衣服の身頃みごろについて、両腕を覆うもの。和服ではたもとの部分を含めていう。「―をたくしあげる」2建造物・工作物などの本体の両わき、または片方にあるもの。門のわきの小さな門、机のわきの引き出しなど。3舞台の左右の端。「―で出を待つ」4文書の初め、右端の余白。5鎧よろいの付属具。肩からひじの部分を覆い、矢や刀を防ぐもの。6牛車ぎっしゃや輿こしなどで、出入り口の左右の張り出した部分。下接語 大袖・角袖・片袖・元禄げんろく袖・小袖・籠手こて袖・袞竜こんりょうの袖・七分袖・削そぎ袖・誰たが袖・筒袖・壺つぼ袖・詰め袖・鉄砲袖・留袖・長袖・薙なぎ袖・名残の袖・花の袖・半袖・平袖・広袖・振袖・巻袖・丸袖・諸もろ袖・両袖類語 (1)振袖・留袖・袂 袖そで打うち合あわ・すかしこまって左右の袖を寄せ合わせる。相手に対する敬意を表す。袖掻き合わす。「―・せて立ちたるこそをかしけれ」〈枕・七六〉袖そで返かえ・す1袖を裏返しにする。こうして寝ると、夢に恋人が現れるという俗信があった。「我妹子わぎもこに恋ひてすべなみ白たへの―・ししは夢に見えきや」〈万・二八一二〉2舞うときなどに、袖をひるがえす。「のどかに―・す所を」〈源・花宴〉袖そで反かえ・る袖や袂たもとが風にひるがえる。袖そで掻かき合あわ・す「袖打ち合わす」に同じ。「少将―・せ、生きたる人に物を申すやうに、泣く泣く申されけるは」〈平家・三〉袖そで片敷かたし・く片袖を敷いて寝る。独り寝をする。袖を片敷く。「別れにし妹が着せてしなれ衣―・きてひとりかも寝む」〈万・三六二五〉袖そですり合あうも多生たしょうの縁えん「袖振り合うも多生の縁」に同じ。袖そでに時雨しぐ・る袖に時雨が降りかかる。袖に涙が落ちるたとえ。「我ながら思ふか物をとばかりに―・るる庭の松風」〈新古今・雑中〉袖そでに縋すが・る袖にとりついて哀れみを請う。助けを求める。「知人の―・って命をつなぐ」袖そでに◦するアクセント そでにする○ 親しくしていた人をないがしろにする。冷淡にあしらう。「恋人を―◦する」類語 無視・黙殺・度外視・軽視・過小評価・軽かろんずる・差し置く・洟はなも引っ掛けない・目もくれない・尻目にかける・眼中に無い・歯牙にもかけない袖そでに露つゆ置お・く露がかかって袖がぬれる。また、涙で袖がぬれる。「草の葉にあらぬたもとも物思へば―・く秋の夕暮れ」〈山家集・下〉袖そでに湊みなとの騒さわ・ぐ港に波が打ち寄せて騒ぐように、袖に涙がひどく流れる。「思ほえず―・ぐかなもろこし舟の寄りしばかりに」〈伊勢・二六〉袖そで振ふり合あうも多生たしょうの縁えん道で人と袖を触れあうようなちょっとしたことでも、前世からの因縁によるものだ。袖すり合うも多生の縁。→多生の縁補説 「多生」は、仏語で、何度も生まれ変わること。「他生の縁」とも書くが、「多少の縁」と書くのは誤り。袖そで振ふ・る1別れを惜しんだり、愛情を示したりするために、袖を振る。「白波の寄そる浜辺に別れなばいともすべなみ八度やたび―・る」〈万・四三七九〉2袖を振って舞う。「唐人の―・ることは遠けれど立ちゐにつけてあはれとは見き」〈源・紅葉賀〉袖そで纏まき干ほ・す《「纏き干す」は、共寝の枕にして乾かすこと》共寝して、涙に濡れた袖を乾かす。 袖そでを片敷かたし・く「袖片敷く」に同じ。袖そでを絞しぼ・る涙でぬれた袖を絞る。ひどく涙を流すことにいう。「墨染の―・りつつ、泣く泣く罷まかり出でられけり」〈平家・灌頂〉類語 泣く・涙する・涙ぐむ・噎むせぶ・啜すすり上げる・噦しゃくり上げる・咳せき上げる・哭こくする・落涙する・流涕りゅうていする・涕泣ていきゅうする・歔欷きょきする・嗚咽おえつする・慟哭どうこくする・号泣する・号哭ごうこくする・めそめそする・差し含ぐむ・泣き明かす・泣き暮らす・泣き伏す・泣き沈む・泣き崩れる・泣き濡れる・泣き出す・泣き叫ぶ・泣き喚く・泣き腫らす・泣きじゃくる・噎むせび泣く・噎せ返る・泣き噎ぶ・すすり泣く・忍び泣く・涙に暮れる・涙に沈む・涙に噎ぶ・むずかる・べそをかく袖そでを連つら・ねる大ぜいの人が連れ立って行く。また、行動を共にする。「―・ねて出かける」袖そでを通とお・す衣服を着る。特に、はじめてその衣服を着ることにいう。「新しいスーツに―・す」袖そでを引ひ・く1袖を引いて人を誘う。催促する。「早く帰ろう、と母親の―・く」2人の袖を引いてそっと注意する。「もっと小さい声でと―・く」類語 誘う・いざなう・招く・呼ぶ・誘い合わせる・誘い出す・おびき出す・誘い入れる・誘い込む・おびき寄せる・引き込む・引き入れる・引きずり込む・引っ張り込む・巻き込む・抱き込む・誘いかける・呼びかける・働きかける・持ちかける・勧誘・誘引・口を掛ける・声を掛ける・水を向ける・鎌を掛ける袖そでを広ひろ・ぐ《袖を広げて金品を受けることから》物乞いをする。袖そでを分わか・つ一緒にいた人と別れる。関係を断つ。袂たもとを分かつ。「盟友と―・つ」 |