释义 |
たきり…ないたところで…ないた〘助動〙[たろ|○|た|た|たら|○]《助動詞「たり」の連体形「たる」の音変化》活用語の連用形に付く。連用形が撥音便、およびガ行がイ音便となる場合には連濁で「だ」となる。1動作・作用が過去に行われた意を表す。「昨日出張から帰ってきた」「時きぬとふる里さして帰る雁かりこぞきた道へまたむかふなり」〈為忠集〉2動作・作用の完了を表す。「原稿をやっと書いたよ」「先陣が橋を引いたぞ、あやまちすなと、どよみけれども」〈平家・四〉3実現していない動作・状態を仮に実現したと考えていう意を表す。「話が出た時点で考えよう」 「今度会ったとき話すよ」4動作・作用の結果が存続している意を表す。…ている。…てある。「割れたガラス窓から風が吹き込む」「アル犬肉ししむらヲ含ンデ川ヲ渡ルニ、ソノ川ノ真ン中デ含ンダ肉ノ影ガ水ノ底ニ映ッタヲ見レバ」〈天草本伊曽保・犬が肉を含んだ事〉5動作・存在の確認の意を表す。「あれ、君はそこにいたの」 「坊やは今年いくつだった」6命令の意を表す。「さあ、どんどん歩いた、歩いた」7決意を表す。「もうやめた」 「よし、その品買った」8(「…たらどうか」 「…たらいかがでしょうか」などの形で)助言したり提案したり勧誘したりする場合に用いられる。「この件は継続審議ということにしたらいかがでしょうか」補説 4は連体形の用法。5・6・7は、終止形の文末における用法。仮定形「たら」は、多く「ば」を伴わないで「雨が降ったら中止だ」などと使われ、「遅いからもう帰ったら」のように文末に用いられて8の意を表す。たきり…◦ない《「たきり」は過去の助動詞「た」の連体形+接続助詞「きり」。「ない」は打消しの助動詞。動詞または使役・受身の助動詞に付く》ある動作・作用が行われたのが最後で、その後に本来期待される動作・作用が行われていないことを表す表現。「家を出たきり帰ってこない」たところで…◦ない《「たところで」は過去の助動詞「た」の連体形+名詞「ところ」+格助詞「で」。「ない」は打消しの助動詞、または形容詞》前件に未成立・既成立の事柄を条件として示し、後件にそれが無駄になるか、もっと悪い状態になってしまうという話し手の意見を主張する言い方。「こんなにお金があったところで使い切れない」 「今さら悔やんだところで始まらない」補説 この表現で前件に未成立の事柄を述べる場合は、「たとえ~(と)しても」と似た意味になるが、後件に意志・希望・命令などの表現がこないという点が異なる。 |