释义 |
[一]〘格助〙[二]〘終助〙[三]〘間助〙[四]〘並助〙[五]〘準体助〙の一〘格助〙名詞、形容詞、形容動詞の語幹、副詞、副助詞、接続助詞「て」 「ながら」などに付く。1連体修飾格として諸種の関係を表す。㋐所有。…の持つ。…のものである。「会社―寮」「後徳大寺大臣おとど―寝殿」〈徒然・一〇〉㋑所属。…に属する。…のうちの。「財務省―事務次官」「夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲―いづこに月やどるらむ」〈古今・夏〉㋒所在。…にある。…にいる。「大阪―友人」「家―人々いと多かりけるに合はせて」〈竹取〉㋓行為の場所。…における。…での。「異国―生活にも慣れた」「八島やしま―戦にうち勝ちぬ」〈平家・一一〉㋔時。…における。「1一0〇月―中旬」「夏―蝉せみ」〈徒然・七〉㋕作者・行為者。…の作った。…のした。「校長―話」「行成大納言かうぜいのだいなごん―額」〈徒然・二五〉㋖関係・資格。…にあたる。…としての。「友達―田中君」「妻め―女」〈竹取〉㋗性質・状態。…のようすの。…の状態である。「瀕死ひんし―重傷」 「縦じま―シャツ」「等閑なほざり―心」〈徒然・九二〉㋘材料。…で作った。…を使っての。「木造―家」「葦あし―御簾みす」〈徒然・二八〉㋙名称・人名。…という名の。…という。「富士―山」 「三河―国」㋚数量・順序。…番目の。「多く―船」「一―皇子みこ」〈源・桐壺〉㋛対象。…に対する。「反乱軍―鎮圧に成功する」「まろ、この歌―返しせむ」〈土佐〉㋜目標。…のための。「お祝い―プレゼント」「春―急ぎ(=準備)」〈徒然・一九〉㋝比喩。…のような。「花―都」「ありさりて後も逢はむと思へこそ露―命も継ぎつつ渡れ」〈万・三九三三〉2動作・作用・状態の主格を表す。「交通―発達した地方」 「花―咲くころ」 「まゆ毛―濃い人」「月―出いでたらむ夜は」〈竹取〉3(「ようだ」 「からに」 「ごとし」 「まにまに」などの上に付き)その内容を表す。「綿―ような雲」「六日、きのふ―ごとし」〈土佐〉4同格を表す。…であって。「ジュース―冷えたのが欲しい」「大きなる柑子かうじの木―、枝もたわわになりたるが」〈徒然・一一〉5連用修飾格を表す。㋐比喩を表す。…のように。「春日野の雪間をわけて生おひいでくる草―はつかに見えし君はも」〈古今・恋一〉㋑(多くは「さまの」の形でサ変動詞に連なり)動作の対象を表す。…を。「おしなべたるやうに人々のあへしらひきこえむは、かたじけなきさま―し給へれば」〈源・柏木〉㋒(下に「ともに」 「むた」などを伴って)その内容を表す。…と。「白雪―ともに我が身はふりぬれど心は消えぬものにぞありける」〈古今・雑体〉補説 古語で1・2が人を表す語に付く場合、その人に対する敬意を含んでいることが多い。また、2は1の用法から転じたといわれ、現代語では、「枝の折れた木」 「老朽化の激しい校舎」のように、「何のどうする(どんな)何」という形で用いられる。二〘終助〙活用語の連体形に付く。1(下降調のイントネーションを伴って)断定の言い方を和らげる意を表す。多く、女性が使用する。「伺いたいことがある―」 「あいにく母は留守です―」2(上昇調のイントネーションを伴って)質問または疑問の意を表す。「君は行かない―」 「そんなに悲しい―」 「なぜな―」3強く決めつけて命令する意を表す。「余計なことを言わない―」 「遊んでばかりいないで勉強する―」4念を押すような気持ちで、詠嘆・感動の意を表す。「仲がよいことだ―」「はて面倒な承り事でござる―」〈伎・幼稚子敵討〉補説 終助詞の「の」は、近世後期以降用いられ、現代語ではうちとけた対話に用いられることが多い。ただし、感動の意の4だけは中世後期にはすでに用いられ、現代語では古風な表現に用いられる。三〘間助〙文節の切れ目に付く。語勢を添える意を表す。ね。「おれは―、去年まで五十九だっけが、取って六十だよ」〈滑・浮世風呂・二〉四〘並助〙1並列・列挙を表す。…だの…だの。「やかましい―うるさい―と文句ばかり言う」 「行く―行かない―とごねる」「唐から―、大和―、めづらしく、えならぬ調度ども並べ置き」〈徒然・一〇〉2(「の…ないの」の形で用い、「の」 「ないの」のそれぞれ前に同じ形容詞をともなって)程度がはなはだしい意を表す。「寒い―寒くない―ってふるえあがったよ」 「痛い―痛くない―って涙が出てきたよ」五〘準体助〙1(体言に付いて)下の名詞を表現せず、「のもの」 「のこと」の意を表す。「この本、君―だろう」 「自分―には記名しておく」「せめて、この樽も人―を借ってきた」〈虎明狂・樽聟〉2(活用語に付いて)その語を名詞と同じ資格にすることを表す。「読む―が速い」 「彼を行かせる―はまずい」 「こんな―が欲しい」→のだ →のだろう →のです「あんまり夫婦仲のいい―もこまったものだ」〈滑・浮世床・初〉 |