[格助](エと発音する)❶《方向を表す体言に付いて》移動の方向を表す。「一路西へ向かう」「右へ右へと回る」「こっちへ来い」「海の方へ飛んでいく」❷《地点を表す体言に付いて》到達点を表す。「頂上へたどり着く」「故郷へ帰る」「池へコイを放つ」「荷物をロッカーへ入れる」❸動作が向かう相手を表す。「妻へ贈る」「うちへ電話する」「近所へ言い触らす」使い方⑴①~③は移動や伝達など方向性をもつ述語とともに使う。⑵①~③は「に」とも言うが、「に」は到達点・相手を、「へ」は方向性を重視した言い方となり、動きの展開する方向を特に表す「前へ前へ突き進む」 「公益法人、民営化の方向へ」などでは「に」は不自然になる。また、「本塁 に/へ 生還する(→本塁への生還)」 「私は母 に/へ 手紙を書いた(→私が書いた母への手紙)」のように、名詞句では「にの」の形がないので、すべて「への」となる。 ❹《方向性の希薄な述語とともに使って》移動した結果として、動作・作用が実現する場所を表す。「ここへ座って(=ここへ来てここに座って)話を聴け」「こちらへ住んで(=移り住んで)五年になる」「首へぶらさげておきなさい」使い方ふつうは「に」を使うが、「へ」にすると、その場所へ移動するイメージが現れる。