凡例
1 基本方針
⑴本辞典の特色
日本語運用の“達人”への指標となるべく、表記・意味・用法の的確な情報を盛り込む。
・語の用いられ方や文型を踏まえて、それぞれの語の意味を記述する。特に、基本的な用言や助詞・助動詞は意味用法の記述を充実させる。
・日常生活で頻繁に用いられる重要語には特に用例を多く載せる。また、古い用法や修辞的用法では適宜小説などから実例を引き、より具体的な使い方を示す。
・漢字の使い分けや送り仮名について簡明かつ懇切に解説する。特に、どのような場合にその表記形を使うか、その表記形を使った場合にどのようなニュアンスが生じるかなどについて、例を示しながら丁寧に解説する。
・特徴的な語法や、類義語との違い、敬語表現、注意すべき誤用など、より深く日本語を理解し的確に表現するための解説を行う。
⑵収録語
現代日本の言語生活に必要な約73000目を収録する。
・基本的な現代語を中心に、ビジネス関連の新語や、主に話し言葉で用いられる俗語なども収録する。
・連語項目を多く立てる。
・現代語だけでなく、古語も適宜収録する。
2 見出し
⑴見出しの示し方
和語・漢語は平仮名で、外来語は片仮名で示す。ただし、外来語であっても、「たばこ」など慣用の久しい語は平仮名で示す。
原則として「現代仮名遣い」(昭和<縦中横>61縦中横>年<縦中横>7縦中横>月内閣告示)と「外来語の表記」(平成<縦中横>3縦中横>年<縦中横>6縦中横>月内閣告示)による。
⑵見出し語の語構成
複数の要素から構成されている複合語の場合、最大の切れ目にあたる最終結合部分に「‐」(ハイフン)を入れる。
「狐(きつね)の嫁入り」など助詞「の」によって結びつくものや、「都道府県」など切れ目が一か所に限定できないものは、語の切れ目ごとにハイフンを入れる。
和語の区切りには語源を勘案する。ただし、語が変化し熟合して、区切りの示せないものにはハイフンを入れない。
さか–な【魚】
うつせみ【▽現身・▽空▼蟬・▽虚▼蟬】
…語源「うつしおみ(現し臣)」→「うつそみ」→「うつせみ」と転じた。
外来語はおおむね原語の綴(つづ)りの区切りによる。和製語は、結合部分にハイフンを入れる。
アイス–クリーム[ice cream]
オーダー–メイド[和製 order+made]
連語や、多くの要素からなる副詞や接続詞は、おおむね、一文節のものは語の区切りごとに、二文節以上のものは文節の区切りごとにハイフンを入れる。
と–する–と
[接]
さも–あらば–あれ【〈遮▼莫〉】
地名や年号にはハイフンを入れない。
えど【江戸】
れいわ【令和】
動詞・形容詞は、語幹と活用語尾の間に「・」(ナカグロ)を入れる。連語については、これに準ずる。
あつか・う【扱う】アツカフ
あつ・い【熱い】
あまり–あ・る【余りある(余り有る)】
語幹と活用部分の区切りを示すナカグロとハイフンが重なる場合には、ハイフンを省略する。ただし、連語の場合は、語の区切りを明示するためにハイフンを省略しない。
あい・する【愛する】
ことに–・する
⑶見出し語の配列
?五十音順に並べる。五十音順で決まらないものは、次の順に並べる。
・清音→濁音→半濁音
・小字(促音・拗音・ぁぃぅぇぉ)→普通字(直音)
・長音(ー)は直前の母音と同じ扱いとする。また、長音がないもの→長音があるもの
・平仮名→片仮名
?見出しの仮名が同じであるものは、次の品詞の順に並べる。
名詞→代名詞→動詞(自五段→他五段→自四段→他四段→自上一→他上一→自上二→他上二→自下一→他下一→自下二→他下二→自カ変→他カ変→自サ変→他サ変→自ナ変→他ナ変→自ラ変→他ラ変→特殊活用)→形容詞→形容動詞→連体詞→副詞→接続詞→感動詞→助動詞→助詞→接頭語→接尾語→造語成分→連語
?品詞が同じであるものは、次の語種の順に並べる。
和語→漢語→混種語(洋語+和語・漢語)
?品詞・語種が同じであるものは、表記欄に掲げた最初の表記の字数の少ない語→多い語の順に並べる。
?字数が同じであるものは、最初の表記の一字目の漢字の画数の少ない語→多い語の順に並べる。
?見出しの仮名・品詞が同じである外来語は、原語の綴(つづ)りのアルファベット順に並べる。
3 表記情報
表記情報を、見出しの次に示す表記欄【 】、❶❷…の次に示す使い分け[ ] 、書き分け欄や書き方欄の解説の三種の方法によって示す。
⑴見出し語の表記
標準的と思われる表記形を見出しの後の【 】に示す。【 】内の漢字に次のような記号を付ける。
?「常用漢字表」(平成<縦中横>22縦中横>年<縦中横>11縦中横>月内閣告示)にない漢字(表外字)は、文字に「▼」を付ける。「常用漢字表」にある漢字のうち、「常用漢字表」で認められていない音訓(表外音訓)で用いるものには、文字に「▽」を付ける。
?二字以上からなる漢字の列の意味をくみ取って、まとめて訓にして読む、いわゆる熟字訓の表記形は、全体を〈 〉で囲んで示す。〈 〉内の文字については、表外音訓の「▽」の表示は省略する。
?「常用漢字表」の付表にある語の表記形は、全体を《 》で囲んで示す。
付表に示されていない語でも、付表で示されている読み方を含む語については、付表相当語と考え、同じく全体を《 》で囲んで示す。
いちげん–こじ【一言《居士》】
*付表は「居士」をあげる。
かあ–ちゃん【《母ちゃん》】
*付表は「母さん」をあげる。
標準的な表記形が複数あるものについては、より一般的と思われる表記形を初めに示し、以下にそれ以外の表記形を「・」(ナカグロ)で列挙する。
表記欄で( )を用いて示すものは、おおむね次の方針による。
?「同音の漢字による書きかえ」(昭和<縦中横>31縦中横>年<縦中横>7縦中横>月、国語審議会総会報告)などによって実際に行われることが少なくなった表記形や、標準的ではないが、語源を示すなど、有用である表記形は、( )で囲んで示す。
も–ほう【模倣(▼摸倣)】
いろ–どり【彩り(色取り)】
?「常用漢字表」にある漢字(表内字)で、かつ同表にある音訓(表内音訓)であっても、意味が形式化するなどして、平仮名で書くことが広く定着していると思われる語は、漢字表記を( )で囲んで示す。
やはり【(矢張り)】
ゆる–ゆる【(緩緩)】
[副ト]
きっ–かけ【(切っ掛け)】
?複合語で?を含むものは、平仮名表記を初めに示し、( )で漢字表記を示す。
いのち–からがら【命からがら(命辛辛)】
はなし–か・ける【話しかける(話し掛ける)】
?その語の特定の意味に部分的に用いられる表記形は( )で示す。これについては、書き方欄や書き分け欄でその使い方を解説する。
うち–こ・む【打ち込む(撃ち込む)】
…❻弾丸を発射して標的の中に撃ち入れる。当てる。命中させる。「砲弾を敵艦に撃ち込む」書き方「撃ち込む」と書く。
送り仮名は「送り仮名の付け方」(昭和<縦中横>48縦中横>年<縦中横>6縦中横>月内閣告示)により、原則として、本則に従う。
字体は、常用漢字・人名用漢字はその字体による。「表外漢字字体表」(平成<縦中横>12縦中横>年<縦中横>12縦中横>月国語審議会答申)で「印刷標準字体」が示されているものは、その字体による。それ以外は、原則として、康煕(こうき)字典体を用いる。(電子版では、一部、書籍版とは異なる字体を用いる場合もある。)
画数の多い漢字について、適宜、その漢字を拡大して示す。
一般にローマ字で書くものも【 】によって示す。
エヌ–ピー–オー【NPO】
外来語の原語の綴(つづ)りは見出しの後に[ ]によって示す。英語以外の言語名、ならびに和製英語については綴りの前後にそれを示す。
アウトソーシング[outsourcing]
アップリケ[appliquéフランス ]
アフター–ファイブ[和製 after+five]
ロシア語・ギリシア語・朝鮮語などは、ローマ字にかえて示す。
中国語は日本通用の漢字で示すが、その際、「▼」 「▽」のマークは示さない。
⑵意味・用法による使い分け
その語の意味や用法によって表記形の使い分けがある場合、次のような形で示す。
?❶❷❸などの意味分類によって表記形の使い分けがはっきりしている語では、❶❷❸の次に[ ] に囲んでそれぞれの表記形を示す。[ ] では、送り仮名などを省略し、使い分けの対象となる漢字の部分のみを示す場合もある。また、書き分け欄で適宜詳しい解説を行う。
うに【〈海胆〉・〈海▼栗〉・〈雲丹〉】
[名]❶[海胆・海栗] ウニ綱に属する棘皮動物の総称。…❷[雲丹] 食用にするウニの卵巣。…
あと【跡・痕(▼址)】
[名]❶[跡] 何かが通っていったしるしとして残るもの。…❷[跡・痕] ある物事が行われたり、あるものが存在したりしたしるしとして残るもの。…❸[跡] 跡目。家督。…書き分け⑴[跡] は①~③で広く使う。[痕] は根絶できないあと、くっきりと残ったあとの意で②で使う(傷の痕・血の痕)。[址] は建物のあとの意で「城の址」などと書くが、今は「跡」が一般的。
?その語の全体にわたって用いられる表記形以外に、部分的に用いられる表記形は、書き方欄や書き分け欄で解説する。
て–まえ【手前】━マヘ
[名]…❹茶の湯の作法。また、茶の湯を立てる手並み。書き方多く「▽点前」と書く。
?❶❷❸などの意味分類によってはっきりとした表記形の使い分けがないものは書き分け欄や書き方欄で説明する。
おく・れる【遅れる(後れる)】
[自下一]…書き分け⑴⑤⑥は多く[後] を使う。⑤⑥以外で、歩みが遅くて後になる意で「時計[発育]が後れる」 「流行に後れる」などと[後] を使うこともあるが、今は[遅] が一般的。⑵「先頭から 後れる/遅れる」では、前者は後ろになる意に、後者は先頭より進み方が遅い意に注目していう。
⑶その他の表記情報
【 】に掲げるには至らない、補足的な表記形を適宜書き方欄や書き分け欄に示す。なお、【 】内に掲げていない表記形をその項目の書き方欄や書き分け欄で示す際には、それが常用漢字表外字、表外音訓である場合には、それぞれ「▼」 「▽」の記号を付ける。熟字訓である場合には、〈 〉で囲んで示す。
あつま・る【集まる】
[自五]…書き分け「▼聚まる」 「▼蒐まる」 「▼輯まる」とも。「民家が聚まる(聚落)」 「切手が蒐まる(蒐集)」 「原稿が輯まる(編輯)」などと使い分けることもあるが、今は一般に[集] を使う。
あこが・れる【憧れる(▽憬れる)】
[自下一]…書き方「〈憧憬〉れる」とも当てる。
「文部省公用文送り仮名用例集」(昭和<縦中横>56縦中横>年<縦中横>12縦中横>月)の、公用文での標準的な送り仮名が、本辞典の【 】に示した送り仮名と異なる場合、書き方欄に次のような解説をする。
うけ–もち【受け持ち】
[名]…書き方公用文では「受持ち」。
「送り仮名の付け方」(昭和<縦中横>48縦中横>年<縦中横>6縦中横>月内閣告示)の通則<縦中横>7縦中横>によって、送り仮名をつけない慣用が固定している複合の語(名詞)について、次のような解説をする。
うり–あげ【売り上げ】
[名]…書き方…慣用の固定した「売上(金・高・残高)」などは送りがなを付けない。
「同音の漢字による書きかえ」(昭和<縦中横>31縦中横>年<縦中横>7縦中横>月、国語審議会総会報告)や新聞の用字の取り決めなどに見られる表記形の新しい用い方について、適宜「代用(表記)」として解説する。
けつ–べつ【決別(▼訣別)】
[名・自サ変]…書き方「決別」は代用表記。
いっかく–せんきん【一▼攫千金】イックヮク━
[名]…書き方新聞では「一獲千金」で代用。
そのほか、表記に関するさまざまな解説を書き方欄や書き分け欄で行う。
4 歴史的仮名遣い
歴史的仮名遣いが見出しの仮名遣いと異なるものは、【 】(【 】のないものは見出し)の後に片仮名で示す。語構成を示すハイフンによる区切りに基づき、歴史的仮名遣いが異なる部分を文字で示し、現代仮名遣いと共通する部分は「━」(ダッシュ)で示す。
あい–おい【相生い】アヒオヒ
あい–かた【相方】アヒ━
あい–じょう【愛情】━ジャウ
【 】に複数の表記形があり、その歴史的仮名遣いが異なる場合には、そのすべてを「・」(ナカグロ)で並べる。
あつ–よう【厚様・厚葉】━ヤウ・━エフ
5 品詞等
品詞等と活用の種類を[ ]で示す。造語成分としたものは(造)で示す。
品詞等は、名詞・代名詞・動詞・補助動詞・形容詞・補助形容詞・形容動詞・連体詞・副詞・接続詞・感動詞・助動詞・格助詞・接続助詞・副助詞・終助詞・接頭語・接尾語・造語成分・連語に分類する。
本辞典の品詞等の略記の仕方については「略号・記号一覧」に示す。また、それぞれの品詞等について本文で行った文法的な記述については、付録「品詞解説」で解説する。
6 意味・用法の解説
⑴意味の分類
一般に、品詞が異なる場合の分類は…を用いる。意味による分類は❶❷❸…を用いる。
特に意味の多い動詞や記述の長い助詞など、一部の語については、近い意味を並べて示し、それらをABC…を用いて分類する。
解説中で分類の番号を示す場合には、①を用いる。
⑵位相
現代では日常的にはあまり使わない古風な語、改まった場では使いにくい俗語、比較的新しく生まれた語や意味については、解説の冒頭でそれぞれ〔古風〕〔俗〕〔新〕によって示す。
あか–がね【▽銅】
おっき・い
エモ・い
なお、解説の読みやすさに配慮して、適宜、位相情報をやの後ろなどに置くこともある。
⑶語連続・接続
特定の語連続で用いられたり、特定の語に接続したりする場合には、《 》によってその語連続・接続情報を示す。
おう–おう【往往】ワウワウ
[副]《多く「往々にして」の形で》そうなることがしばしばあるさま。ときどき。「美点は往々にして見落とすものだ」
あい【相】アヒ
[接頭]❶《動詞・形容詞などに付いて》互いに。一緒に。「相知る・相等しい・相乗り」
7 用例
用例は「 」によって示す。
複数の用例を示す場合、適宜[ ]を用いる。
き–ず・く【築く】━ヅク
複数の助詞を示す場合、/によって示す。
かく・れる【隠れる】
[自下一]❶……「顔が帽子 に/で隠れる」
慣用句やことわざなどの意味を示す場合、(= )によって示す。
あい–そ【愛想】
[名]❶…「愛想が尽きる(=あきれ果てて好意や信頼感を失う)」
小説や詩歌などからの用例は<出典>〈 〉出典>によって出典(作者名や作品名)を示す。特に高等学校の国語の教科書によく採録される小説等については、作者名と作品名の両方を示すこともある。
作者名について、芥川竜之介・泉鏡花・尾崎紅葉・島崎藤村・田山花袋・夏目漱石・樋口一葉・二葉亭四迷・森鷗外などは、それぞれ<出典>〈芥川〉出典><出典>〈鏡花〉出典><出典>〈紅葉〉出典><出典>〈藤村〉出典><出典>〈花袋〉出典><出典>〈漱石〉出典><出典>〈一葉〉出典><出典>〈二葉亭〉出典><出典>〈鷗外〉出典>などと略記する。
8 参考情報
⑴書き方書き分け使い方語源注意読み分け数✦品格✧
表記に関するさまざまな事柄を書き方欄と書き分け欄に解説する(3–⑶参照)。漢字や送り仮名の書き分けに関することを主に書き分け欄に記し、表記全般に関することを書き方欄に記す。
漢字の書き分けについては、「『異字同訓』の漢字の使い分け例」(平成26年、文化審議会報告)を参考にした。
文法的な事柄や、比喩用法・類義語との比較・敬語表現など、その語の用法全般について、使い方欄に解説する。「ボールを打つ」 「ホームランを打つ」など、動詞がどのような名詞を「~を」でとることができるかについても、適宜解説する。付録「品詞解説」
語源に関する事柄を語源欄に解説する。
語の用法・表記・アクセントなどの情報で、特に注意が必要と思われるもの(誤用など)を注意欄に示す。
アクセントは、高く発音する部分を太字で示す。
あか–とんぼ【赤〈▼蜻▼蛉〉】
[名]…注意アクセントは、もとアカトンボ、最近ではアカトンボ。
同じ漢字で読みが異なる語で、意味が似るなどして読みがまぎれやすいものを読み分け欄に解説する。
伝統的・特徴的な物の数え方を数欄に示す。
改まった場面でも使える品格のある類語の一例を✦品格✧欄に示す。その目次を「『品格』欄一覧」に示す。
書き方書き分け使い方語源注意読み分け数の欄は、その見出し語の特定の意味分類に関わるものは、その意味分類の語釈・用例の後に置く。見出し語全体に関わるものや複数の意味分類にわたって解説をしているものは、以下に置く。また、✦品格✧欄は、項目の末尾に置く。
⑵と
そのほか、さまざまな解説をとで適宜行う。
は、意味が一つである項目で用いる。また、❶❷のように意味分類が複数ある項目で、特定の意味分類について解説する場合に用いる。
アイ–ティー【IT】
[名]情報技術。「IT革命」information technology の略。
おう–どう【王道】ワウダウ
[名]❶儒教で、有徳の君主が仁徳をもって国を治める政治の道。「王道楽土」[覇道]孟子が説いた。 ❷安易な方法。近道。「学問に王道なし」royal road の訳語。 ❸…
は、意味分類(bc1;❷……)が複数ある項目で、その見出し語全体または複数の意味分類について解説する場合に用いる。
しょい–こ・む【▽背▽負い込む】ショヒ━
[他五]❶しっかりと自分の背中にせおう。…❷やっかいなことなどをしかたなく引き受ける。…「せおいこむ」の転。
⑶文可能派生名動旧異形
五段動詞を除く動詞には、その文語形を文欄に示す。新語・俗語である動詞は適宜文語形を省略する。
あ・ける【明ける】
五段動詞には、それから派生した可能動詞を可能欄に示す。ただし、複合動詞では省略する。
う・つ【打つ・撃つ・討つ】
形容詞・形容動詞には、その語幹に接尾語「げ」 「さ」 「み」 「がる」が付いてできた派生語を派生欄に示す。
かわい・い【可▽愛い】カハイイ
[形]…派生–げ/–さ「かわいさ余って憎さ百倍」/–が・る
うとまし・い【疎ましい】
[形]…派生–げ/–さ/–が・る「しつこくつきまとって疎ましがられる」
名詞への転成がある動詞には、その名詞形を名欄に示す。
あけ–わた・す【明け渡す】
動詞への転成がある名詞には、その動詞形を動欄に示す。ただし、その動詞形を見出し語として立てている場合には省略する。
あま–くだり【天下り(天▽降り)】
「常用漢字表」に康煕(こうき)字典体(旧字体)が添えてある漢字には、その音による見出し語で康煕字典体を旧欄に示す。「滝」など、音のない漢字には、その訓による見出し語で同じく示す。
あ【亜】
たき【滝】
「愛する」と「愛す」、「信じる」と「信ずる」のような、活用の違いによる異形の語がある動詞には、異形欄にその語形を示す。
あい・する【愛する】
⑷対義語
対義語を語釈または用例の後にによって示す。意味分類(❶❷……)が複数ある項目で、すべての意味分類にその対義語が該当する場合には○○の形で示す。部分的に該当する場合には①③○○、①~④○○などと示す。
あっ–か【悪貨】アククヮ
[名]地金が悪質な貨幣。[良貨]
あら–て【新手】
[名]❶…❷…❸…[古手]
おも–さ【重さ】
[名]❶…❷…❸…❹…②③[軽さ]
⑸参照
他の項目や意味分類を参照する場合には、「」によって示す。
9 子見出し
見出し語の中に、その語から始まる慣用句やことわざを、子見出しとして立てる。
いし【石】
⦿石の上にも三年
物事は辛くとも根気よく続ければ、最後にはきっと成功するということ。…
子見出しは漢字仮名交じりで示し、読みにくい漢字にルビを振る。活用する場合には、活用しない部分と活用部分の間に「・」を入れる。配列は五十音配列とする。
10 コラム・図版
さまざまな表現に役立つ次のようなコラムを、関連する項目の近くにまとめる。コラムの目次は「総目次」に示す。
「ことば探究」…文学作品に見られる言葉の使い方を解説したコラム。
「ことば比べ」…日本文化と関わりの深い言葉などを比較・解説したコラム。
「文型表現」…その語を用いた文型表現を集めたコラム。
「注意したい表現」…「重言のいろいろ」ほか注意したい表現のコラム。
「○○の比喩表現」…その語の比喩表現を集めたコラム。
「○○を修飾する表現」…その語を修飾する表現を集めたコラム。
「イメージと表現」…その語のもつイメージと表現を集めたコラム。
「○○を表す表現」…その語と同じ意味を表す表現を集めたコラム。
「さまざまな○○」…その語を含む複合語を集めたコラム。
「○○の敬語表現」…その語の敬語表現をまとめたコラム。
敬語、接続詞、手紙の書き方、挨拶や季節に関する言葉についてのコラムを付録にまとめる。付録の目次は「総目次」に示す。
着物や筋肉などの各部の名称を、「着物」 「筋肉」などの項目に図にして示す。
11 索引
この辞典をより便利に使えるように、「明鏡 利活用索引」 「アルファベット索引」 「難読語索引」を設ける。索引については、索引の凡例を参照。
12 類語
適宜、項目の後ろに類語の一例を示す。類語の先頭の囲みに、その類語の「大分類/中分類」を示す。