[副助]❶《数量を表す語に付いて》おおよその程度を表す。…ほど。…くらい。「かれこれ一時間ばかりも待たされた」「それは十日ばかり前のことだった」❷《体言に付いて》(集団が)単一のものに限られている意を表す。…だけ。全部が…だ。…しかない。「子供ばかりのグループ」「主役が退場して脇役ばかりになる」使い方「脇役ばかりになる」は、脇役しかいない集団になる(=②)とも、脇役になることしかない(=③)とも解釈できるが、「脇役にばかりなる」は、後者の解釈だけで、前者には解釈できない。
❸《体言や、体言+格助詞、動詞+「て」などに付いて》その事柄の及ぶ範囲が一つに偏っていることを表す。…だけ。「ずうたいばかりが大きい」「妹の家ばかりに行く」「文句(を)ばかり言う」「家にばかり閉じこもっている」「あの子とばかり仲よくする」「遊んでばかりいる」❹《「…ばかりだ」の形で活用語の連体形を受けて》物事が偏って生じる意を表す。…だけだ。特に、物事がよくない方向にだけ進展する意を表す。…一方だ。「文句を言うばかりで、動こうとしない」「ご迷惑をかけるばかりで恐縮です」「状況は悪化するばかりだ」使い方「ばかり」の入る位置は、焦点のあたる部分のすぐ後が多く、「兄とばかり遊んでいる」だと、相手の限定に、「兄と遊んでばかりいる」だと、状況の限定に、「兄と遊んでいるばかりだ」のように文末に来ると、④のように事柄全体の限定になりやすい。ただし、「掃除もせずに兄とばかり遊んでいる」 「兄と遊んでいるばかりで、姉とは遊ばない」のように、文脈に支えられて他の位置に現れることもある。
❺《「…ばかりだ」 「…ばかりの」などの形で、動詞や動詞型活用の助動詞の連体形、もしくはその未然形+「ん」に付いて》物事がすぐにも起こりそうな段階にある意を表す。また、程度がはなはだしい意を表す。…ほど。「あとは出発するばかりだ」「今にも降り出さんばかりの天気だ」「花と見紛うばかりの美しさ」「目を覆わんばかりの惨状だ」「机の上にとりどりの薬の箱が溢れるばかりに並んでいる」使い方⑤の「…んばかりだ」の「ん」は、本来打ち消しの「ぬ」に由来し、「…ぬばかりだ(=…しないだけで…したかと思うほどの)」の意。後に推量の「む」と混同され、…しそうなくらいだ、と解釈されるようにもなった。
❻《「…ばかりだ」 「…ばかりの」などの形で、動詞や動詞型活用の助動詞の連用形+「た」に付いて》物事が生じた直後である意を表す。「今着いたばかりだ」「耕されたばかりの畑」❼《「…ばかりに」の形で、活用語の連体形に付いて》そのことだけが原因で、の意を表す。「知らせたばかりによけいに心配をかけた」「手を貸したばかりにかえって混乱した」「優しかったばかりに、人一倍苦労もした」❽《「…ばかりか…まで[も・さえ]」の形で、名詞や活用語の連体形に付いて》それだけでなく、さらにの意を表す。…どころか…まで[も・さえ]。「いびきばかりか寝言まで聞こえる」「あの店は味が悪いばかりか、接客態度もなっていない」「うそを言うばかりか盗みさえする」❾《「…とばかりに」の形で、発話や思考の内容を受けて》まさにそう思っているかのように、の意を表す。「死ねとばかりに突き飛ばした」「今が盛りとばかりに咲き誇る」「我がものとばかりに抱え込んだ」「ここぞとばかりに責め立てる」
「はかる」の連用形名詞「はかり」から。俗語的な言い方に「ばかし」 「ばっかし」 「ばっかり」がある。書き方「▽許り」とも当てる。