[動五][自]❶人・動物以外の具体物・抽象物が存在する。「机の上に本がある」「交差点に交番がある」「山の向こうに海がある」「名古屋には名古屋城がある」「車庫には車が一台ある」「本社は東京にある」「こんな話は世間にざらにある」「人生には喜びもあれば悲しみもある」「あの歌手は若者に人気がある」「この薬は疲労回復に効果がある」「二人の実力には大きな差がある」使い方「あそこに太郎[スズメ]がいる」など、人・動物の場合は「いる」を使う。
❷人が存在することを初めて紹介するようにいう。いる。「昔、ある所におじいさんとおばあさんがありました」❸《人の意を表す語の上に連体修飾語を冠して》何らかの形で類型化された人・動物が存在する。いる。「賛成の人もある」「無関心な子もあれば目を輝かせる子もある」「私には強い味方がある」❹人がこの世に生きて暮らしている。生存している。「世にある限り最善を尽くそう」「いつまでもあると思うな親と金」❺人が特定の状況や地位・立場などに身を置く。「病床にあって無聊をかこつ」「党内にあって唯一の理論家」「恵まれた環境にある」「逆境にあってもくじけない」「彼は理事長の職にある」「彼女は指導する立場にある」使い方存在する人よりはその状況に関心をもった言い方で、「~にあって」の形で使うときは、多く意味が形式化して格助詞「で」に近づく。「いる」で置き換えると、口頭語的な言い方となる。
❻あるものがある特定の状態や段階に置かれている。「会社は倒産寸前の状態にある」「新製品は試作段階にある」「人口は増加の傾向にある」「その国は隣国の支配下にある」「国の経済は発展途上にある」❼《数値を伴って》あるものがそのような物理的な属性をもっている。そのような数量が認められる。「彼は体重が一〇〇キロもある」「塔の高さは五〇メートルある」❽複数のものの間にある関係が成り立つ。「私はこの事件と深い関係がある」「両者間には密接なつながりがある」「互いに面識がある」「両国間には国交[取引]がある」❾あるものが所有されたり含まれたりした状態で存在する。持っている。「私には妹がある」「金も時間もたっぷりある」「才能[体力・教養・貫禄・悩み・責任・余裕・恨み]がある」「我が家には書斎がある」「このドアには頑丈な取っ手がある」「その意見には問題がある」「彼の文章にはユーモアがある」❿(存在自体を問題にして)生物・無生物、具体物・抽象物を問わず、ものが存在する。「私が今ここにあることは疑えない」「神は本当にあるか」⓫ある物事がなされる。行われる。催される。また、ある特別なことが起こる。「田中氏から電話[連絡・発表・質問・謝罪]があった」「方針の変更があった」「今日は学校がある」「遠足[バーゲンセール]がある」「二日前に衝突事故[地震]があった」⓬時が経過する。「ややあって(=しばらくして)語り始めた」⓭《「~にある」の形で》~によって決まる。~によって左右される。「成否は努力のいかんにある」「復讐するは我にあり」⓮《「~とある」の形で》~と書かれている。また、~ということだ。「遺書には『全財産を寄付する』とあった」「頼みとあればしかたあるまい」「休日とあって人出が多い」⓯《「~だけ(のことは)ある」の形で》[だけ⑥]「自慢するだけのことはある」⓰[ことがある]「どこかで会ったことがある」⓱《「~つつある」の形で》[つつ(接助)③]「復興の道を歩みつつある」⓲《「…ともあろうものが」などの形で》仮にもそのような立場・身分のものが。「大統領ともあろう者がそんな発言をするとは」「○○社ともあろう会社が…」書き方存在を表す「在」、所有的存在を表す「有」ともに、一般にはかな書き。古風な文体で存在を強調する場合や、「無し」と対比的に使う場合などでは、漢字書きも多い。「我ここに在り」「反対する者無し。但し、沈黙する者多数有り」使い方⑴文語の否定形は「あらず」だが、口語には「あらない」の形はなく、形容詞「無い」でこれに代える。⑵尊敬の「れる」を付けた「…(で)あられる」は、「ここにあられるお方は、かつて国王であられました」 「殿は思慮深くあられる」など、「…(て)いらっしゃる」の古風な言い方として今も使う。ただし、「ご質問はあられ(→ござい・あり)ませんか?」 「興味があられましたら(→おありでしたら)」などは不自然な感じである。 [補動]❶《他動詞の連用形+「て[で]ある」の形で》変化した動作の結果が現在まで維持されている意を表す。「壁に絵がかけてある」「荷物が乱雑に積んである」使い方もとの文(絵をかける・荷物を積む)の「を」が「が」に変わり、全体で自動詞化する。
❷《他動詞の連用形+「て[で]ある」の形で》何かに備えて手回しよく準備されている意を表す。「ご飯が炊いてあった」「きちんと予習が済ませてある」「前もって周辺機器が本体に組み込んである」使い方⑴一般にもとの文(ご飯を炊く・予習を済ませる・機器を組み込む)の「を」が「が」に変わるが、「を」のままでも使う(ご飯を炊いてある)。「機器が組み込まれてある」など受身形を受けることもある。⑵「~ておく」に似るが、これは動作主の意図を重視した言い方(ご飯を炊いておく・予習を済ませておく)。 ❸《「AはBである」 「AがBである」の形で》AとBが等しい、また、AがBに属するという断定的な判断を表す。「責任者は私である」「私が卒業したのは去年のことである」「トラはネコ科の動物である」使い方口頭語の「です」、口頭語・文章語両用の「だ」に対して、専ら文章語として使う。
❹《形容動詞の連用形「~で」に付いて》そういう性質・状態をもっているという判断を表す。「人柄は穏やかである」「辺りは静かであった」「健康であるのが何よりです」使い方⑴形容動詞・形容詞の連用形に、係助詞「は・も」などを添えた形に付く。「実直だが→実直ではあるが 明敏ではない」「嬉しくもまた寂しい→嬉しくもあるが、また寂しくもある」⑵形容動詞・形容詞の連用形に付いて、「たい」 「べきだ」などに接続させる。「× 美しくたい→○ 美しくありたい」「× 厳格だべきだ→○ 厳格であるべきだ」⑶形容動詞「~だ」に比べて、「~である」のほうがより文章語的。⑷「勤勉であることが求められる」 「潔くあるためには引き際が肝心だ」など、連体形が形式名詞の類に続く形では、多く形容動詞・形容詞の連体形で置き換えられるが、口頭語的でやや言葉が足りない言い方となる(勤勉なことが求められる・潔いためには引き際が肝心だ)。⑸[[使い方]] ❺《「お[ご]…あれ」 「お[ご]…あられよ」の形で、間に動詞連用形や漢語サ変動詞語幹が入って》尊敬 Aに…てくれと要望・懇願することについて、Aを高める。古風な言い方で、今の「…て下さい」に当たる。「おいであれ」「久々の大作、ご期待あれ」「神もご照覧あれ」[お(御)①[使い方]⑵]文あ・り(ラ変)
✦品格✧[顕在]「顕在している矛盾」[現存]「現存する最古の木造建築」[実在]「証拠が実在する」[所在]「所在を確かめる」[存在]「神の存在証明」
有る/存在在りき・有りき (居る) 居る 介在 外在 既存 顕在 現存 混在 実在 実存 潜在 存在 存する 存置 存立 点在 内在 併存(並存) 偏在 遍在 有