释义 |
なり〘助動〙[○|(なり)|なり|なる|なれ|○]活用語の終止形に付く。平安時代以後は、ラ変形活用語には連体形に付く。1音や声が聞こえるという意を表す。㋐…の音や声が聞こえる。「みとらしの梓あづさの弓の中弭なかはずの音すなり」〈万・三〉㋑他から伝え聞いたことを表す。…そうだ。…ということだ。…と聞いている。「また聞けば、侍従の大納言の御女むすめなくなり給ひぬなり」〈更級〉㋒音・声やうわさなどに基づく推定を表す。…するようだ。…しているらしい。「呼びわづらひて笛をいとをかしく吹きすまして過ぎぬなり」〈更級〉2詠嘆の気持ちを表す。…であることよ。…ているよ。「手た枕に身を愛すなりおぼろ月/蕪村」補説 一般に伝聞推定の助動詞とよばれ、語源については「音ね」 「鳴る」 「泣く」などの「ね」 「な」に「あり」が付き、融合したとみる説が有力である。2は近世に生じた用法。なり〘助動〙[なら|なり・に|なり|なる|なれ|なれ]《格助詞「に」+ラ変動詞「あり」の音変化》体言および体言に準じるもの、活用語の連体形、形容動詞の語幹、助詞「と」 「て」 「ば」などに付く。1断定の意を表す。…だ。…である。「そのとき、右の馬の頭かみなりける人を常に率ゐておはしましけり」〈伊勢・八二〉2(主に連体形「なる」の形で)存在の判断を表す。…にある。…にいる。…にあたる。「小諸なる古城のほとり雲白く遊子悲しむ」〈藤村・千曲川旅情の歌〉「さるべき故ありて東山なる所へ移ろふ」〈更級〉3(多く根拠を示す語を伴い文末に用いて)事柄を説き示す意を表す。…のである。…からである。「都へと思ふを物の悲しきは帰らぬ人のあればなりけり」〈土佐〉4(人や物などに付いて)「という」の意を表す。→たり「顔回なる者あり。学を好む」〈論語・雍也ようや〉補説 連体形「なる」は室町時代に「な」となり、口語の助動詞「だ」の連体形に、未然形「なら」は同じく仮定形に用いられるようになった。4は漢文訓読からの用法。また終止形を「也」と書いて、「金参万円也」のように、証書などで金額にそれ以下の数字がないことを示すのに用いる。 |