释义 |
[一]〘格助〙[二]〘接助〙[三]〘終助〙[四]〘並助〙に一〘格助〙名詞、名詞に準じる語、動詞の連用形・連体形などに付く。1動作・作用の行われる時・場所を表す。「三時―間に合わせる」 「紙上―発表する」「熟田津にきたつ―舟ふな乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな」〈万・八〉「二十一日、卯うの時ばかり―船出いだす」〈土佐〉2人・事物の存在や出現する場所を表す。「庭―池がある」 「右―見えるのが国会議事堂です」3動作・作用の帰着点・方向を表す。「家―着く」 「東―向かう」「蟻のごとくに集まりて、東西―急ぎ、南北―走わしる」〈徒然・七四〉4動作・作用・変化の結果を表す。「危篤―陥る」 「水泡―帰する」「青葉―なり行くまで、よろづにただ心をのみぞ悩ます」〈徒然・一九〉5動作・作用の目的を表す。「見舞い―行く」 「迎え―行く」「白馬あをうま見―とて里人は車清げにしたてて見―行く」〈枕・三〉6動作・作用の行われる対象・相手を表す。「人―よくかみつく犬」 「友人―伝える」「人―若菜給ひける御歌」〈古今・春上・詞書〉7動作・作用の原因・理由・きっかけとなるものを示す。…のために。…によって。「あまりのうれしさ―泣き出す」 「退職金をもとで―商売を始める」「春の野に若菜摘まむと来こしものを散りかふ花―道はまどひぬ」〈古今・春下〉8動作・作用の行われ方、その状態のあり方を表す。「直角―交わる」 「会わず―帰る」「桐の木の花、紫―咲きたるはなほをかしきに」〈枕・三七〉9資格を表す。…として。「委員―君を推す」「はじめより我はと思ひあがり給へる御方々、(桐壺ノ更衣ヲ)めざましきもの―おとしめそねみ給ふ」〈源・桐壺〉10受け身・使役の相手・対象を表す。「犬―かまれた」 「巣箱を子供たち―作らせる」「ありがたきもの、舅しうと―ほめらるる婿」〈枕・七五〉11比較・割合の基準や、比較の対象を表す。「君―似ている」 「一日―三回服用する」「御袴着はかまぎのこと、一の宮の奉りし―劣らず」〈源・桐壺〉12(場所を示す用法から転じて、多く「には」の形で)敬意の対象を表す。「博士―は古稀こきの祝いを迎えられた」 「先生―はいかがお過ごしですか」「うへ―も聞こしめして渡りおはしましたり」〈枕・九〉13(動詞・形容詞を重ねて)強意を表す。「騒ぎ―騒ぐ」「風いたう吹き、海の面おもてただあし―あしうなるに」〈枕・三〇六〉14「思う」 「聞く」 「見る」 「知る」などの動詞に付いて状態・内容を表す。「この継母の有様をあたらしきもの―思ひて」〈源・帚木〉15比喩ひゆの意を表す。「逢坂をうち出でて見れば近江の海白木綿花しらゆふはな―波立ち渡る」〈万・三二三八〉二〘接助〙活用語の連体形に付く。1あとの叙述の前置きとして続ける意を表す。…と。…ところ。「考えてみる―庶民のための政治は当分望めそうにない」 「こともあろう―警官にけんかを売るとは」「あやしがりて寄りて見る―、筒の中光りたり」〈竹取〉2理由・原因を表す。…ので。…だから。「渡し守、はや舟に乗れ、日も暮れぬと言ふ―、乗りて渡らむとするに」〈伊勢・九〉3逆接の確定条件を表す。…けれども。…のに。…だが。「日中の照りに乾いて、きょうは道が好かった―、小庭の苔はまだ濡れている」〈鴎外・蛇〉「よろしうよみたりと思ふ歌を人のもとにやりたる―、返しせぬ」〈枕・二五〉4添加・並列を表す。…のに加えて。…の上にさらに。「旅の空を思ひやるだにいとあはれなる―、人の心もいと頼もしげには見えずなむありける」〈かげろふ・上〉補説 接続助詞「に」は、用言の連体形に付く格助詞「に」から転じたもので、1は口語では多く「要するに」 「こともあろうに」などの慣用的表現として用いられる。三〘終助〙1《上代語》活用語の未然形に付く。他に対してあつらえ望む意を表す。…てほしい。「ひさかたの天路あまぢは遠しなほなほに家に帰りて業なりをしまさ―」〈万・八〇一〉2《近世語》活用語の終止形に付く。軽く注意を促したり、とがめたりする意を表す。…のにな。…のだぜ。「飯をたいたら、かゆになってしまうわな。米をたくといへばいい―」〈滑・膝栗毛・初〉四〘並助〙並列・列挙・添加・取り合わせを表す。「バター―チーズ―牛乳」 「月―むら雲、花―嵐」「有識いうそく―公事くじのかた、人の鏡ならんこそいみじかるべけれ」〈徒然・一〉 |