[格助]❶起点や通過点となる場所を表す。「成田から出発する」「出先から戻る」「玄関から入る」「すきまから光が漏れる」使い方出発や通過の場所を表すときは「を」に言い換えられる。「成田を出発する」
❷起点となる時間を表す。「三時から始まる」「九月から再開する」❸変化する前のもとの状態や事態を表す。「ひなから育てる」「少女から大人になる」❹《多く「…から…まで」の形で》範囲を定める基準点を表す。「駅前から商店街までをパレードする」「三歳から五歳までの子供」「この川から南を規制区域とする」❺順序を表す。「好きなものから食べる」「子供から診察する」❻《「…てから」の形で、動詞連用形を受けて》一つの動作の成立時点を次の事態の起点として表す。「食事を済ませてから出かける」「別れてから会っていない」❼《数量を表す語に付いて》それ以上であることを表す。程度が多いという含みがある。「金は百万からかかる」「重さは一〇キログラムからある」「五万人からの署名を集めた」使い方一般に「も」に言い換えられる。「金は百万もかかる」
B | もとになる出来事や材料を表す |
❽原因・根拠を表す。「不注意からけがをする」「顔色から健康状態を判断する」❾原料・成分を表す。「果物から酒を造る」「台座は青銅から作る」「この本は三章からなる」使い方「で」に言い換えられることもある。「果物で酒を造る」
❿《「から見て」 「から言って」などの形で》後に続く判断の根拠を表す。「状況から見て、殺人事件だ」「年齢から言って最後のチャンスだろう」[からして①]⓫《しばしば「して」を伴って》最も基本的なものを挙げ、他はまして、と強める。「先生から(して)そんな服装では困ります」[からして②]⓬受身ややり取りの表現の相手を表す。「友だちから頼まれた」「父から受け継ぐ」「人から聞いた」使い方「に」に言い換えられることもある。「人に聞いた」
⓭《方向性のある表現を伴って》動作を起こす主体を表す。「君から渡しなさい」「僕から電話しようか?」使い方「が」に言い換えられることもある。「君が渡しなさい」
D | 原因・理由・根拠を表す |
[接助]《活用語の終止形を受けて》❶次に続くことの原因・理由・根拠を表す。「時間がないから急ごう」「連絡がないから心配した」「疲れたから一休みしよう」使い方[ので] ❷《「…で(も)いいから」 「…て(も)いいから」の形で》後に続く事柄が成立するための、許容できる(最低限の)根拠を表す。「死球でいいから塁に出たい」「高くてもいいから売ってください」使い方自然のなりゆきで成立する、希望・命令などの根拠を表す「から」を使うのが標準的。説得・説明する気持ちで理由を述べる「ので」を用いるのは標準的でない。「× 誰でもいいので連れて来い」「△ 一日でいいので、つきあってください」
❸《「からだ」の形で》先に述べたことの原因・理由・根拠を表す。「遅れたのは渋滞に巻き込まれたからだ」「やっぱり𠮟られたな。悪ふざけするからだよ」❹《「…からといって」 「…からって」などの形で、多く打ち消しを伴って》…という理由で。また、ただそれだけの理由で。「疲れたからといって休むわけにはいかない」「長男だからっていばるなよ」使い方古風な言い方で「からとて」とも。
❺《「…から(に)は」の形で》…する以上は。[からには]❻《文末に使って》注意・警告・慰めなどの気持ちを表す。「先生に言いつけてやるから」「私もう帰るから」「心配しなくていいから」❼《「…んだから」 「…のだから」の形で、言いさして》相手に反論する気持ちで、言外に示す意見のよってきたる理由を説得的に示す。「(だって)ことばが通じないんだから」「(気持ちはわかるが)こんな時代なのだから」